2011.4 アトリエの想い出

アトリエ創立の頃から通って来てくれた田中紗知さん(旧姓:今村)から、嬉しいお便りを頂きましたので、ご紹介します。

ちびっこアトリエで経験させてもらったことは、私の頭の中の記憶だけではなく、私の両手の中で、手の記憶として沢山残っています。

アトリエでは、にじみ絵、フォルメン、様々な素材を使った工作や手芸など沢山の経験をさせてもらいました。にじみ絵の水をひいた紙の上を滑る筆の感覚、フォルメンの曲線や直線を蜜蝋クレヨンで描く腕の感覚、羊毛を裂く時の力の入れ具合など、今でも鮮明に手の中で覚えています。その手の動きや手触りはどれも自然で心地よく、私の身に染み付いています。

手を動かすことで、人の精神、情緒、感覚はより豊かに発達すると思っています。これから、我が子や私の周りにいる子ども達にも同じような手の記憶を沢山残してやりたいと思っています。
        *     創立当初、小さな子どもだけを対象にアトリエを始めたで、
      しばらくは“ちびっこアトリエ”と称していました。


●紗っちゃんの想い出

アトリエを始めて間もないころ、紗っちゃんというかわいい女の子がお母さんと訪ねて来ました。まだ幼稚園に行き始めたばかりで、夢見るような円らな瞳と、ミルクの匂いがただよっているようなあどけなさが印象的なお子さんでした。

彼女はアトリエのすぐ近くに住んでいて、私がにじみ絵で描いた手作りの看板に目をとめて、その前を通るたびに、「ここに行きたい!」とお母さんに言ったそうです。
それから、高校を卒業するまで、アトリエに通って来てくれました。

絵も良かったのですが、幼い時から手仕事は抜群で、手工芸の道に進むといいなと、思っていました。やはり、大学では美術教育の木工芸を専攻し、卒業制作では曲線美のある椅子を作りました。卒論では「手を動かすことで発達する子ども達」をテーマに取り組みました。

また大学の4年間、私の幼児クラスを手伝ってくれました。10才頃まで、今日と明日の区別もよくわからない、ぽぁんとしたところのある子でした。しかし大学生になると、ビジネスマンのような分厚い手帳にびっしりスケジュールを書き込み、勉学・創作・バイトにと忙しそうに活躍している様を目の当りにして、子どもって成長し、変わっていくものだと、つくづく思ったものでした。

彼女が結婚式でプレゼントしてくれた手書きのカードには、こんなメッセージが書かれていました。
「小さい頃から通ったちびっこアトリエは私が美術の道を歩もうとした原点です。小学校から帰ると、いつも急いで用意をして、走ってアトリエに行っていたというほど、アトリエが大好きでした。いつか私も、ちびっこアトリエのような教室を開きたいと思います。これからもよろしくお願いします。」

私は目頭が熱くなり、これまでアトリエを続けてきて良かったと、心から思いました。

来月のアトリエ25周年記念展には彼女も出品してくれます。
彼女は今、小学校の先生となり、我が子を育てながら“子どもに伝えていくこと”を考えているようです。

posted by: love0802 | 2011年 ブログ | 12:29 | - | - | - |
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