2010.12 イメージを育てる芸術教育
 
昔から、人々は子どもに昔話を語り伝えることを通して、世の中の様々なありようや知恵を伝えてきました。
それはテレビなどを通して入ってくる外からのイメージではなく、語り手のイマジネーションにふれて、子ども自身が自ら思い描くイメージです。

以前読んで感動したストーリーが映画化されて、自分が思い描いていたイメージと違ってがっかりした経験はありませんか。この思い描いていたイメージは内側に息づいています。
しかし、先に映画を見てしまうとその場面を思い出すことはあっても、それにとらわれない自分なりのイメージはなかなか思い浮かばないものです。

今の子ども達はあふれる情報や映像にとり囲まれていて、自ら思い描くチャンスが少なくなってきています。
それは一見、豊かなイメージに囲まれ、イメージ力も育つように思うかもしれません。
しかし、実際には内側で思い描くイメージを貧困にしているのです。

小学校低学年はこのイメージがもっとも生き生きして、豊かに育つ時期です。
しかし、今の教育はこれを育てることに重きをおいていません。
だからこそ、静かに耳を傾け、お話を聞き、そのイメージを描くことが大切なのです。
これは治癒的な作用を持ちます。今の子ども達にとって、とても大切なことなのです。

虹のアトリエの低学年クラスでは、お話を語った後、その中からあるイメージを取り出して、シンプルに描くことを私は大切にしています。
シンプルであるがゆえに、子どもの力量で受けとめ、そこに入っていけからです。

このイメージの力は思考力の土台となります。
イメージ力が育っていなければ、いろいろな事がらを関係づけたり体系だてたりして、
考えを広げていくことができません。

またイメージは画家にとっては創作の根源であり、直感やひらめきのような、
人生を導く大切なメッセージを受け取るのも、イメージを通してだと私は感じています。

描くことを通して、豊かに生きるための土台となるイメージの力を子どもの時に、
できるだけ育ててあげたいと思っています。

posted by: love0802 | 2010年 ブログ | 12:59 | - | - | - |
2010.11  シュタイナー教育の視点 

30年位前から日本で広がり始めたシュタイナー教育への熱も一時のブームは去った感があります。私としては、シュタイナー教育の名を知る人がようやく増えてきて、やっとこれから深めていく土台が整ってきたと感じていたころなので、「いったい何がブームだったのだろう?」という思いです。

今やシュタイナー教育も夢に見る学校ではなく、理想に向かって試行錯誤する一つの現実となりました。実現するには難しく、時間を要することもあります。だからといって、それが不可能とか、無意味だというわけではありません。

まして、時代遅れなどではありません。むしろ、これからの時代に本当に必要なことを多く示唆していると思います。

その一つに、人間の成長のプロセスについての考え方があります。
 

   0〜7才  肉体が発達し、感覚器官が発達し
         意志を育くむ時期

   7〜14才  生命体(エーテル体)が発達し、呼吸・循環を整え
                感情を育む時期

   14〜21才  思考・感情体が発達し、生殖器官・四肢が成長する
         思考力を育む時期
 

この3つのプロセスの順序を疑う方は無いと思います。しかし、その年齢区分についてはどうでしょうか。それぞれの時期に、その最も育つべきことが重要視されているでしょうか。

思考力にはたらきかけるカリキュラムが低年齢化しているのに加えて、私立中学への受験志向が高まり、受験勉強の低年齢化も進んでいるのが今の日本の現状です。

しかし、客観的にものごとを見る能力は10才ごろから芽生えはじめ、徐々に思考力へと発達していきます。この能力は時が満ちて永久歯が生えてくるように、子どもの成長のプロセスの中で生まれてくるもので、前倒しで育てるということはできません。受け皿の無いところに水を注いでもこぼれてしまうように、子どもの中に考える力が生まれてこないうちに思考に働きかけても、子どもは受けとめられず、かえって勉強が嫌いになるものです。そして、ストレスをためて呼吸が浅くなり、集中力がなくなってきます。生命力も弱まり、元気がなくなってきます。今、疲れやすい子どもがとても増えています。

では、何が小さい子どもに働きかける力を持つのでしょうか。それはイメージです。生き生きとしたイメージとともに語られることは子どもの心に働きかけ、記憶され、子どもの魂のなかに確かな土台を作っていきます。 

次回につづく・・・


posted by: love0802 | 2010年 ブログ | 13:01 | - | - | - |
2010.10 Poem 1


  大空を眺めてごらん

  気持ちがすーっと広がっていくよ

  あなたも私もそこから生まれてきた

  そして、またそこへ帰っていく

  だから、この宇宙を創り出した存在の力が

  私たちにもそそがれている

  何かをするために…

  自分がなすべきことを探しながら

  精一杯生きていこう





アイルランド タラの丘にて
posted by: love0802 | 2010年 ブログ | 13:03 | - | - | - |
2010.09  ナウシカに寄せて
先日初めて宮崎駿氏の「風の谷のナウシカ」を見ました。
マンガとは縁遠い私ですが、ジブリの作品は妖精の存在を描くために作られたと聞き、
何か見てみようと思い立って、TUTAYAに行った時、背文字が浮かび上がってくるように目に飛び込んできたのが「風の谷のナウシカ」でした。

人間が地球環境を破壊したために腐海となった大地、そこに生息するオームという巨大な虫との戦いか、共生か、生き延びる道は何なのかを問いかけるテーマです。

ナウシカは破滅的な地球の中に残された別天地とも言える風の谷のかわいらしい姫様でした。
あるとき、他国の列強軍がオームの子をおとりに使ってオーム達を全滅させようとしたとき、ナウシカは勇敢にもその子を助け、怒り狂って目を真っ赤に光らせて突進してくるオーム達の前にたった一人で子どもを返しに行くのです。

自分の信じる道を捨て身で実行する意思の強さとやさしい心根にじーんとくるものがありました。
色づかいにシュタイナーの色彩論、フォルムのうねりに、エーテル体(生命体)に強く訴えかけてくるものを感じました。最後も美しく、感動的でした。


posted by: love0802 | 2010年 ブログ | 13:14 | - | - | - |
2010.08  シュタイナー美術教員養成講座に参加して

今年の夏、芸術療法士であり、シュタイナー学校の美術教育の指導にあたっておられる吉澤明子先生の“シュタイナー美術教員養成講座”に参加しました。これまで学んできたことを見直す機会にもなり、関心を同じくする方達とのつながりを持つチャンスだと思ったからです。

今回はおもに小学校1・2年生のためのカリキュラムでした。その中で、低学年の子ども達がにじみ絵の技法で色そのものを描く練習を繰り返しすることの意味について印象深いお話がありました。

「小学校1年生の前半は赤、青、黄の一つひとつの色、それから2つの色のひびき、たとえば赤を青で囲む、反対に青を赤で囲むというようなシンプルな課題を色のお話と共に練習します。この時期は色は混ぜません。そうすることで三原色の一つひとつをしっかりと子どもの中に入れていきたいのです。」

この色のお話というのは色の特徴を擬人化したり、動きを表現した簡単なもので、そのお話を作る実習があり、参加者全員のお話を聞くのは楽しかったです。私は「青を赤で囲む」という課題にこんなお話をつくりました。

ある寒い冬の日、赤さんが焚き火をしていると、寒くて凍えそうな青さんが来ました。赤さんは、「どうぞ焚き火で暖まって下さい。」と言いました。青さんは「ありがとう。」と言って暖めてもらい、嬉しくなりました。

こんなふうに色と感情がつながったところでの色彩体験を積み重ねていくことで、子どものなかに色彩感情が育ち、色彩体験を通して人との関係においても作用するバランス感覚を育てることができると先生は確信を持っていらっしゃるようです。

小さい時からにじみ絵をしている子どもは心とつながったところで色を使うことができるようになるので、とても情感豊かな絵を描いてくれます。そして、3原色とその関係がしっかり入ると、色を使いこなすことができるようになることを感じていました。もう一歩進んで、色彩体験の作用を、今後の課題として意識していきたいと思いまた。


posted by: love0802 | 2010年 ブログ | 13:17 | - | - | - |